コラム

柑橘類果実の歴史

柑橘類果実とは、ミカン(Rutaceae)科カンキツ(Citrus)属、キンカン(Fortunella)属およびカラタチ (Poncirus)属植物の果実の総称で、ビタミンが豊富でほどよく酸味があり、今日では世界中で食されています。

約3000年前、中国の中南部およびインド北東部のアッサムを中心とする地域で発生し、中国、インドを経て、ヒトや鳥類をはじめとする動物の移動によって世界中に広がったと考えられています。

また、食用以外の用途をひも解くと、古代エジプトでは抗菌剤としてミイラ作りに、中国では化粧品や洗髪剤として、古代ローマでは虫除けとして、古代インドでは銅製品の洗浄剤や洗髪剤などとして利用された記録があります。

柑橘類果実の中では、カンキツ属植物が最も多くキンカン属植物は6種、カラタチ属植物は1種です。柑橘の分類は非常に複雑で、植物学的に形状、色、芳香性、皮の剥きやすさなどを基本に大まかに分類すると、①オレンジ、②シトロン ・ レモン ・ ライム、③マンダリン・ウンシュウミカン、④ブンタン ・ グレープフルーツの4つのグループに分類できます。しかし、柑橘類はこれらのグループ間やグループ内で簡単に交雑し、現在でも品種改良が盛んに行われ、その品種は年々増加しています。 わが国在来の柑橘には、タチバナ、 ダイダイ、ユズ、シークワーシャー 、ウンシュウミカン などがあります。また、長い歴史の中では種々の品種が自然交雑や突然変異品として、ハ ッサク、ナツミカン、ヒュウガナツ、イヨカン、サンボウカンなどの品種があります。

出典; わが国固有の柑橘類果実の薬史学的考証から見出された有用性について,香料 (247) 63 -71,2010年


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